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![]() 「食する映画たち」2
イタリア料理の朝食といえば『月の輝く夜に』のブルスケッタをはずすわけにはいかない。オリーブオイルを熱したフライパンでフランスパンを炒める。パンには真ん中に穴があいていて、そこに卵を落とす。母親が娘役のシェールにつくってやるシーンだが、その場面だけはあくまで料理が主役だった。
このラブロマンスはイタリア料理が、物語のスパイスとして随所にきいていた。なにしろ幕開けはディーン・マーチンが歌う『ザッツ・アムール』なのだ。 〜ピザのような月/ワイン色の人生/恋はパスタ〜 と歌われるこの甘いメロディーは、恋愛と食が表裏一体ということをよく物語っている。最後のシーンは家族の食卓だった。齟齬が生まれぎくしゃくしていた家族が和解し、シャンパンで乾杯する。「家族に乾杯」が締めくくりのセリフだ。 ほとんどのイタリア映画は、食の悦楽も恋愛も結局は家族に収斂する。食がしっかりしていると家族の結びつきも強い、ということか? まさにそういうことである。 そういえば台湾映画の『非情城市』でも家庭の食卓がなんども登場した。お茶、点心、火鍋、そして台湾風ちまきが旨そうだった。けれど食卓の基本はやはり白いご飯と簡単なおかず。父も息子たちもほとんど死に、唯一残った息子も精神の病におかされる。そんなやりきれない状態においても、老父と女たちは白いご飯を黙々と食べる。最後のセリフは「ご飯よ」だった。 つづく
嗜好571号 (2004/5月)掲載
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